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生産性向上設備投資促進税制は、H29年3月31日までです!
2016年10月5日
生産性向上設備投資促進税制は、事業者のよりよい設備投資を促進することによって、事業者の生産性を向上させ、経済成長を図ることを目的としています。この制度は、平成26年1月20日から平成29年3月31日までの期間内に先端設備等(一定の要件を満たす資産)を取得等して事業の用に供した場合に、その事業供用した事業年度において、特別償却又は税額控除を認めるものです。
特別償却を選択した場合、取得した資産の取得価額の50%相当額(建物又は構築物にあっては25%相当額)を限度として、損金にできます。
税額控除を選択した場合、取得した資産の取得価額の4%相当額(建物又は構築物にあっては2%相当額)を限度として税額控除できます。
なお、上記のとおり、平成29年3月31日が期限となっておりますので、この制度の利用を検討されている方は、注意が必要です。
詳しくは、下記を参照してください。
生産性向上設備投資促進税制について
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経済産業省、税制改正要望で自動車税減税盛り込む
2016年10月5日
経済産業省は、平成29年度の税制改正要望で、2017年4月以降に普通車を購入した者について初年度の自動車税を免除する等の減税策を盛り込みました。
自動車は経済活動・社会活動を支える生活必需品ですが、自動車を保有している段階で自動車重量税と自動車税(又は軽自動車税)が課税されており、自動車を保有する者にとって過大な負担となっています。このような事情から自動車保有者が減り、国内市場低迷していること等の理由から自動車税をはじめとする車体課税の抜本的な見直しを要望しています。
具体的には、自動車税の税率引き下げ・初年度月割課税の廃止などです。
詳しくは、以下を参照ください。
平成29年度税制改正に関する経済産業省要望(概要)
http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2017/pdf/01_12.pdf
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贈与税と缶コーヒー
2016年10月5日
今年の夏は平年よりも暑かったですが、そんなある日、遠方のお客様に訪問した帰りに、同行した先輩が駅で缶コーヒーをおごってくれました。
ここで職業病が発病し「先輩は無償で缶コーヒーを与える意思を表示し、自分はそれを飲んでいる、ということは受諾したということなので、贈与が成立している。ということは、贈与税の申告をしなければならないのか。もし、申告しなくて良いのであれば、その法的根拠は何なのか」という思いが駆け巡りました。
贈与税は贈与によって財産を受け取った人に課税されます。暦年課税の場合、年間110万円の基礎控除があるので、それ以内の贈与であれば申告は不要です。
「130円は110万円以下なので申告しなくて良いのか」とも考えましたが、例えば今年既に110万円を超える贈与を受けていた場合、それに130円を上乗せして申告しなければならないのかと考えると、ちょっと違う。
相続税法第21条の3(贈与税の非課税財産)に生活費のうち通常必要なものは非課税とあるが、先輩は家族ではないのでこれも違う。
すっきりしないまま事務所に戻り、確認したところ、相続税基本通達21の3-9に答えがありました。
「~法律上贈与に該当するものであっても、社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税しないことに取り扱うものとする。」
日常の何気ないことにも、税法が絡んでいることを感じました。
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オリンピックメダリストへの報奨金
2016年9月2日
メダルラッシュだったブラジルのリオオリンピックも閉幕しました。本当に手に汗握るような名勝負が数多く、感動的なドラマもありました。メダリストは入賞するとオリンピック委員会より報奨金が支給されます。今回はそのお話をしたいと思います。
一般には、報奨金は「一時所得」に該当するものですが、現在は「非課税」として所得税が課税されていません。
公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)は、平成4年のアルベールビル冬季五輪から、五輪のメダリストに報奨金を支払い始めました。しかし、同年夏のバルセロナ五輪で、当時中学2年生だった岩崎恭子さんが200メートル平泳ぎで優勝した際に、一時所得として課税されました。これをきっかけに国民感情から、平成6年の税制改正でスポーツ振興を奨励することなどを目的として非課税とされました。
※非課税とされるのは、オリンピックにおいて入賞した選手に交付される報奨金に限定されており、それ以外の大会による報奨金は所得税の課税対象となります。(所得税法第9条1項14号)
※平成22年の税制改正によって「JOCに加盟している競技団体からの奨励金」も非課税対象になりました。
報奨金の額は入賞順位により異なり、以下の通りです。
・金メダル 300万円→500万円 今年のオリンピックより200万増額されました。
・銀メダル 200万円
・銅メダル 100万円
JOC加盟団体から支払われる報奨金は非課税枠が設けられており、それを超える分は課税対象となります。
非課税枠は、以下の通りです。
- 金メダル…300万円まで
- 銀メダル…200万円まで
- 銅メダル…100万円まで
余談ですが、ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品についても、同様に所得税は課されません。
4年後は東京オリンピックです。今から楽しみですね。
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企業版ふるさと納税の第1回の認定が決定
2016年9月2日
以前ご紹介した企業版ふるさと納税の記念すべき第1回目の認定が決定しました。
認定事業は下記の102件です。寄付したくなるような事業は見つかりましたでしょうか?
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/tiikisaisei/pdf/h280802press.pdf
おさらいですが、企業版ふるさと納税は所得控除と税額控除の適用があり、100万円寄付した場合には最大約60万円の節税になります。
個人の確定申告でふるさと納税をされた方で、実質2000円の寄付金負担で謝礼品の地方特産物を堪能された方にはコスパが悪いと映るかもしれませんが、本来の寄付とは見返りを求めるものではありませんので、やむを得ないのかもしれません。
気になる謝礼品ですが、寄附額の一部を補助金として供与すること、入札や許認可で便宜を図ること、有利な利率で融資すること等は禁止となっております。ささやかな謝礼品まで禁止されているわけではないため、今後、謝礼品を用意する地方公共団体や事業体が出てくるかもしれませんが、予算の関係もあるため過度な期待はできないと思います。
寄付をする事業を選ぶ際の注意点として、本店(地方税法における「主たる事務所又は事業所」)が所在する地方公共団体への寄附については、税制の優遇は受けられません。また、国から地方交付税を交付されていない東京都23特別区、神奈川県鎌倉市、藤沢市、厚木市、寒川町などでも税制の優遇は受けられないため、首都圏ではなじみのある事業に寄付をできない可能性があります。
寄付は10万円から可能で、すでにニトリホールディングスは夕張市の事業に4年で5億を予定しているとか。認定事業は順次増えていくようですので、今後の認定結果も要チェックです!
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配偶者控除の見直し
2016年9月2日
女性の社会進出促進のために早ければ、平成29年1月にも配偶者控除の廃止が検討されています。
配偶者控除とは「少ない収入の配偶者がいる場合、納税者の税負担が軽くなる」ものです。
要件は簡単にまとめると、以下条件に当てはまれば、配偶者控除を受けることができます。
- 婚姻関係があること(内縁関係はNG)
- 納税者と同一の生計であること(単身赴任・別居でも生活費が同じならばOK)
- 年間の合計所得金額が38万円以下であること
- 青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと
詳しくは国税庁HPをご確認ください。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1191.htm
本来専業主婦を扶養にしている夫に与えられていた所得控除ですので一般的には夫側に適用されます。控除額は所得から所得税38万円、住民税33万円の控除となります。
廃止された場合、実際の増税額はこれらの控除に税率をかけた金額です。
おおよそ夫の年収が300万円の方は 52,400円 500万円の方は71,000円 700万円の方は104,500円 1,000万円の方は109,000円の増税となります(所得税・住民税の合計)
廃止になった場合、よく言われる103万円の壁はなくなります。
妻の年収によって夫の所得税が変わらないので、年収が103万円を超えると損をするということが起こらなくなる為です。
130万円の壁についてもよく耳にしますので、簡単に触れておきます。
夫がサラリーマンの場合、妻の年収が130万円までであれば、年金や健康保険の被扶養者になり保険料負担がありません。
しかし、年収130万円を超えると、年金や健康保険の保険料を自分自身で支払うことになります。この保険料負担は大きい為、年収130万円というのも大きな壁になっています。
※平成28年10月より130万円の壁が人によっては、106万円の壁に変更されることになりました。
現在は週30時間以上の労働で社会保険に加入することになっています。
それが以下の条件を全て満たす場合は、社会保険に加入することになります。
- 週20時間以上
- 年収106万円以上
- 勤務期間1年以上
- 従業員501人以上の企業
※中小企業の場合、4に該当することは滅多にありませんが、今後従業員数の規制を緩和し対象者を増やしていく方向のようです。
年収130〜150万円程ですと、税金と社会保険の支払いで手取額が今までよりも少なくなってしまう為、今後は年収160万円を超えるように働く人も増えてくると思います。これが書き始めの女性の社会進出促進へと繋がっていきます。
配偶者控除の話に戻ります。
完全な廃止となった場合、増税となるのは必至ですので、代わりの制度がでてくると思われます。現在有力な案は、基礎控除を夫婦で分け合えるようにできる制度(夫婦控除)と子育て支援の拡充制度を検討しているようです。
新制度が検討中ですので、配偶者特別控除が廃止されるかどうかもわかりませんが、配偶者特別控除にも簡単に触れておきます。
妻の年収が103万円になると配偶者控除を受けることができなくなりますが、現行の制度では配偶者控除の他に「配偶者特別控除」というものがあります。
この控除は配偶者の年収が103万円超から141万円未満であれば、夫は最高で、38万円~3万円の所得控除を受けることできるものです。
詳しくは国税庁HPをご確認ください。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1195.htm
まだまだ議論は継続中ですので、具体的な制度の内容が発表されましたら、ご紹介させていただきます。
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土地の評価単位について
2016年9月2日
平成27年に相続税の増税がされたことにより、このところ相談や申告件数も増えてきているように感じます。
相続税の申告をするにあたり財産評価は欠かせませんが、メインはやはり土地の評価になるでしょう。
土地を評価するにあたり、最初に検討する事項に「評価単位」があります。
例えば、「借地権の目的となっている宅地を評価する場合において、貸付先が複数であるときには、同一人に貸し付けられている部分ごとに1画地の宅地とする」とされています。
被相続人(亡くなった方)がAさんとBさんに土地を貸し、AさんBさんが建物を建てていた場合、たとえそれが隣接していて登記上一筆の土地だったとしても、Aさんに貸している部分とBさんに貸している部分を分けて評価することになっています。
一体で評価するのと分けて評価するのとでは、間口や土地の形が変わってくるので、結果が異なる場合があります。
また、自宅に隣接して月極駐車場があるような場合も、利用単位が異なることから一体で評価することはできません。
例えば三大都市圏の市街化区域であれば、原則500㎡以上の広大な土地で一定の要件を満たすものについては、評価額を大幅に低くするという規定があるのですが、一体で考えれば広大でも、分ければ広大では無いと判断される場合もあり、評価単位の判断は慎重に行う必要があります。