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仮想通貨取引にかかる消費税の課税関係
2017年7月4日
ビットコインに代表される仮想通貨は、これまで消費税法上に定められている非課税対象に定義されていなかったため、消費税の課税対象とされてきました。
しかし、平成29年4月1日に施行された改正資金決済法により、仮想通貨も紙幣や小切手、suicaなどの電子マネーと同じ「支払の手段」として法的に位置付けられました。これに伴い、平成29年7月1日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れから非課税とされ、紙幣や小切手等と同様の取扱いがされることになりました。
非課税取引に該当する場合、仕入控除税額の計算に係る課税売上割合に影響しますが、先般公表された改正消費税法施行令では、事業者が行う仮想通貨の譲渡の対価について、課税売上割合の計算から除外される旨が規定されました。
なお、施行日前の平成29年6月30日以前に譲渡した仮想通貨の対価については課税売上となるため、課税売上割合の分母及び分子いずれにも含まれることになります。
このほかに、経過措置として、平成29年6月30日に税抜100万円以上の仮想通貨を保有する場合、同日の仮想通貨の保有数量が平成29年6月1日から平成29年6月30日までの間の各日の仮想通貨の保有数量の平均保有数量に対して増加したときは、その増加した部分の課税仕入れに係る消費税には仕入税額控除を認めないとしている点にも注意が必要となります。
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中古資産の耐用年数を利用した節税について
2017年6月2日
10万円以上の資産を購入した場合は、原則的に固定資産として計上され、一度に経費することはできずに、減価償却費として法定耐用年数に応じて費用にすることになります。そのため、お金の支出と経費の金額が一致せず、納税資金を圧迫する原因となります。
そこで、なるべく減価償却を多くすることができると節税になりますが、減価償却を多くする一つの方法として中古の資産を購入するという方法があります。
固定資産の耐用年数は、資産の種類ごと(機械装置は設備の種類ごと)に法令で定められていますが、中古資産ですと、その経過年数に応じて耐用年数も短くできます。
詳しい計算はこちらをご参照ください。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5404.htm
- 例① 半年間販売店に展示されていた300万円の新古の乗用車(法定耐用年数6年)を購入した場合
- 耐用年数 (6年-0.5年)+0.5年×0.2=5.6 →5年(切捨て)
- この場合ですと、耐用年数を1年短縮できたため、定率法で計算した場合減価償却は249,000円増加しました。
例② 8年落ちの測定器具(法定耐用年数5年)を35万円で購入した場合
耐用年数 5年-8年<0 →2年(最低2年)
定率法で2年の耐用年数ですと100%償却することができるため、35万円全額が費用にできます。
このように、耐用年数を短くすると費用化できる金額が多くなります。必ずしも新品である必要がない物の購入をする場合にはおすすめです。
ここで注意点を挙げておきます。
- 年度の途中で購入した場合は、月数で分割した金額が費用になるため、決算直前で購入した場合はその期ではあまり効果がありません。
- 一定の骨董品や絵画など価値の上がるものは、そもそも減価償却できませんので適用がありません。
- 中古品を購入しても、改造にお金をかけすぎた場合には改造部分が新品として評価されるため、中古耐用年数の計算が異なります。
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平成29年度税制改正 取引相場のない株式の評価の見直し
2017年6月2日
中小企業の株価が著しく変動しないように取引相場のない株式の評価方法について見直すことになりました。
※この改正で影響を受ける者は同族株主等であり、同族株主等以外の株主には影響がない。また純資産価額について改正はありません。
この改正は、平成 29 年1月1日以後に相続等により取得した財産の評価において適用されます。
国税庁HP
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hyoka/170515/01.htm
○類似業種の株価(上場会社の平均)について、現行に課税時期の属する月以前2年平均が加わりました。
→上場企業の株価の急激な変動が中小業の株価に与える影響が少なくなります。
○配当金額、利益金額及び純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)の比重について1:1:1になります。
→以前は、配当・利益・純資産で1:3:1にて、計算されていましたが、利益比重が少なくなったため、多額の損失計上をしても以前ほど株価が下がらなくなります。
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民法改正
2017年6月2日
契約ルールを定める債権関係規定(債権法)に関する改正民法が、先月26日の参院本会議で可決成立した。
民法制定以来、約120年ぶりに債権部分を見直しすることになった。インターネット取引の普及など時代の変化に対応し、消費者保護も重視した形です。
3年程度の周知期間を経て、施行される見通し。
(主な改正内容)
当事者間で特に利率を定めていない際に適用される「法定利率」の引き下げ。現在は年5%だが、法定利率を年3%に引き下げる。実勢にあわせるためで、3年ごとに見直す変動制も導入する。
飲食代などの未払金など、その職種による時効の期間がバラバラでしたが、職種別の規定はすべて廃止され、原則として5年に統一されます。
中小企業が融資を受ける際に連帯保証人となる人に、公証人による意思確認を義務付ける。
賃貸住宅の敷金返還を明記し、経年劣化による費用負担について借り手は負わず、故意や過失でできた傷などを回復する費用を除いて敷金は原則として返金するものとする。
その他、約款の有効性と内容を変更できるルールを明文化することや商品の欠陥に対し、修理や交換の負担請求もできるようになります。
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ふるさと納税の返礼品の見直しについて
2017年5月10日
ふるさと納税もスタートして数年立ち、申告不要で便利なワンストップ特例の導入や民間業者の返礼品の一覧サイトの発達により、かなりメジャーになりました。当事務所の先日の確定申告でも、体感ですが1割弱の方がふるさと納税をしていたと感じています。
ふるさと納税の最大のメリットは、実質2千円の税負担で地方の特産品を返礼品としてもらえるということでしたが、今回は特に地方団体がふるさと納税の獲得に一生懸命になり、いつしか返礼品が商品券や自転車など派手にエスカレートしてきているという印象を受けました。返礼品の一覧サイトでも露骨に返戻率の表示がされるようになり、当初の趣旨である自分の思い入れのある地方への寄付という考えとはかけ離れたものになっている状態でした。
そこで4月に入り、総務大臣から各都道府県知事に対し、「ふるさと納税に係る返礼品の送付等について」という通知が公布されました。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zeimu04_02000037.html
内容としては、制度の趣旨にそぐわない行き過ぎた返礼品の送付を見直すよう各地方団体に求めるもので、
1. 商品券や電子マネーなどの金銭類似性の高いものの禁止。
2. 家電・家具などの転売できるような資産性の高いものの禁止。
3. 価格が高額なものの禁止。
4. 30%を超える返戻率のものは禁止。
5. その地方団体の住民への送付は禁止。
というものです。この通知を素直に受け止めれば、来年以降は、ほとんどの地方団体で、地元の特産品を返礼する程度のものになると思います。これまでも、そういったものが欲しくてついでに寄付もできるし…という方が大半のようでしたので、この通知の結果、ふるさと納税が下火になるとは思えません。都会の税収を金目のモノで地方が奪ったあげく、返礼コストで税収が寄付金の半分しか残っていないというのは、やはり邪道ではないかと思います。地元産業の活性化と特産品のリピートや観光への呼び水として成功している地方団体もあるようですので、こうした地道な努力で制度を活用していただきたいと思います。
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設立届出書、異動届出書の手続き簡素化について
2017年5月10日
平成29年度税制改正において、設立届出書等の手続が簡素化されました。
1. 登記事項証明書の添付が不要に
法人の設立・解散・廃止などの届出書等において添付が必要とされていた「登記事項証明書」の添付が、平成29年4月1日以後に提出するものから不要になりました。
「登記事項証明書」の添付が不要となった届出書等は以下のとおりです。
・法人設立届出書
・外国普通法人となった旨の届出書
・収益事業開始届出書
・普通法人又は協同組合等となった旨の届出書
・法人課税信託の受託者となった旨の届出書 など2. 異動届出書等の提出先のワンストップ化
これまで納税地が変わった場合、異動前と異動後の双方の所轄税務署に「異動届出書」を提出する必要がありました。
しかし、平成29年4月1日以後の納税地の異動等により、以下の届出書等を提出する場合には、異動後の所轄税務署への提出は不要となり、異動前の所轄税務署に提出すれば足りるようになりました。
・所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書
・所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書
・個人事業の開始・廃業等届出書
・給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
・異動届出書
・消費税異動届出書 など* 上記改正は国税に関するものであり、地方税は従来どおりの取扱いです。
国税庁HP
https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h29/kansoka/index.htm -
個人所得税の配偶者控除関連は平成30年より適用
2017年4月4日
以前当ブログでも取り上げさせていただいた個人所得税の配偶者控除と配偶者特別控除の平成29年度税制改正ですが、適用開始時期は表題の通り平成30年からですのでお気をつけください。
★以前の当ブログの掲載記事はこちら
税制改正の大綱が閣議決定(個人所得課税) https://www.yckz.co.jp/wp/archives/4741
★図解入りのわかりやすい資料はこちら
財務省「平成29年度税制改正(案)のポイント」(平成29年2月発行)より
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeiseian17/zeiseian17_01.pdfTVニュースや新聞などで制度内容が報道され、当社の顧問先様にもニュースレターで特集記事を掲載して制度内容をお伝えしました。しかし、適用時期を勘違いして、もし毎年年収103万円までに抑えていた配偶者が今年(平成29年)中から150万円まで収入を増やしてしまいますと、平成29年では配偶者控除と配偶者特別控除を両方とも受けれなくなってしまいます。
また、配偶者控除が拡充しても、130万円を超えると社会保険の加入が必要になるため、こちらも考慮に入れておいてください。