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外国人を雇用した場合の給与等の源泉徴収
2018年9月4日
外国人社員に対して給与等を支払う場合、その外国人が居住者か非居住者のどちらに該当するのかにより、取り扱いが異なります。
所得税・住民税の源泉徴収(給与等)
①居住者の場合 ・・・ 日本人と同じです。
②非居住者の場合
所得税は、一律20.42%の源泉徴収をし、年末調整の対象からも外れます。
地方税は、非課税です。
*所得税には、復興特別所得税を含みます。
短期滞在者の免税制度
非居住者であっても、次の要件を満たせば免税となる特例があります。
①日本国内に滞在する期間が年間183日以内
②非居住者で、外国の会社の使用人であること
③給与等の支払者が日本国内で給与等を損金処理していないこと
<参考>
居住者とは、日本国内に住所があるか又は現在まで引き続いて1年以上居所がある個人です。
非居住者とは、居住者以外の個人をいいます。具体的には、1年未満の短期滞在を予定している者がこれに該当し、国内源泉所得のみが課税対象とされます。
居住者と非居住者の区分(国税庁HPより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htm
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軽減税率制度への対応には準備が必要です
2018年8月3日
平成31年(2019年)10月1日から、消費税及び地方消費税の税率が8%から10%に引き上げられるのと同時に、消費税の軽減税率制度が実施されます。軽減税率制度の実施に伴い、消費税の税率は、軽減税率(8%)と標準税率(10%)の複数税率となります。
軽減税率(8%)の対象品目は次のとおりです。
● 酒類・外食を除く飲食料品
● 週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)
軽減税率制度は、全ての事業者に関係があります。
国税庁HPにおいて、次の留意点についてのパンプレットが公表されています。
①レジの入替えやシステムの改修について
②請求書等の記載事項について
③帳簿の区分経理・記載事項について
国税庁HP
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/06.pdf
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逓増定期保険を利用した節税について
2018年8月3日
先日新聞記事やヤフーニュースで全額損金になる逓増定期保険を利用した節税が横行しており、もうすぐ国の規制が入るのではないかという記事が取り上げられていました。実際、大手保険会社が相次ぎ逓増定期保険の新商品を売り出し、かなりの売れ行きだそうです。現状、逓増定期保険に加入し、正しく税務処理をした場合に全額損金となったときは、もちろんその行為は脱税ではなく、節税として認められます。
ここで、逓増定期保険について解説しますと、『保険期間の経過により保険金額が5倍までの範囲で増加する定期保険のうち、その保険期間満了の時における被保険者の年齢が45歳を超えるもの』という定義付けされており、税務処理では保険期間満了の時における被保険者の年齢が45歳を超えるものは保険内容によって1/2損金算入、1/3損金算入、1/4損金算入のいずれかに該当することになります。そのため、保険期間満了時の被保険者が45歳以下であれば全額損金算入となるというカラクリです。
実は、平成20年にも同様の節税が横行したため、この保険期間満了時の年齢が60歳から45歳に引き下げられた経緯があります。ですので、今後、国の規制が入るとすれば、被保険者がかなり若くないと全額損金算入とならない可能性があります。平成20年の改正の際には、それ以前に加入していた保険契約については、その後も改正前と同様の処理が認められましたので、今回も規制される前に加入するという会社も多くなるのではないでしょうか。
このような節税保険を利用する場合は次の点に注意してください。
①解約返戻金のピークまで数年間のあいだ保険料を払い続けなければいけませんので、単年度でたまたま調子が良かったからといって保険料を高めに設定しすぎると、その後の年度に無理が生じる可能性があります。
②解約返戻金のピークで解約すると、解約返戻金が法人の益金になります。解約年度で役員の退職金など何らかの損失要因がなければ、せっかくの保険料での節税が無駄になります。
やみくもに節税になるから利用するのではなく、中長期の利益計画・資金計画をした上での利用が重要です。
もし、セーフティー共済の利用がまだでしたら、このような節税保険と同様の効果が見込めますので、ぜひおすすめです。節税保険と異なり、掛金も毎年変更できますし、解約返戻金のピークを意識せず、必要なときまで取り崩さずにストックできます。月額20万円という縛りや最大800万円が上限ですので限界はありますが、併せてご検討ください。
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ふるさと納税 現況調査結果
2018年8月3日
総務省は、ふるさと納税の直近の実績について、全都道府県、市区町村を対象に調査を行い、その結果を公表しました。「ふるさと納税に関する現況調査結果」によると、平成29年度のふるさと納税寄附額は約3,653億円にのぼり、前年度(約2,844億円)の約1.28倍、寄附件数も約1,730万件で前年度(約1,271万件)の約1.36倍となり、寄附額が5年連続で過去最高を更新しました。
寄附額等を地方団体別にみると、寄附額が最も多かったのは「大阪府泉佐野市」で135億3,300万円(寄附件数86.2万件)で、2位の「宮崎県都農町」79億1,500万円(同43万件)以下を大きく引き離す結果となりました。
ふるさと納税に関する現況調査結果http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/topics/20180706.html
ふるさと納税は、自分の生まれた故郷や応援したい自治体に対する寄附金のうち2000円を超える部分について、一定の上限まで、原則所得税・個人住民税から全額が控除されるものです。ただし、控除上限額は給与収入(年収)や家族構成で異なる為、注意が必要です。
また、所得税、住民税の還付・控除を受ける際には「確定申告」又は「ワンストップ特例の申告」が必要になります。
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震災義援金の損金算入について
2018年7月3日
平成30年6月18日に大阪北部で大規模な地震がありました。被害を受けられた皆様方に、心からお見舞い申し上げます。
関東ではあまり被害がないため、今回は震災義援金を支出する立場とし、その支出が損金になるかどうかについて書かせていただきます。
1. 100%損金になるもの① 都道府県の災害対策本部や義援金配分委員会に対する支出
② 日本赤十字社の「大阪府北部地震災害義援金」口座に対する支出
③ 中央共同募金会の「各県の被災者の生活再建のための義援金」と「地震災害におけるボランティア・NPO活動支援のための募金」に対する支出
④ 被災地域の救援活動や被災者への救護活動を行っている認定NPO法人に対する支出
⑤ 最終的に国,地方公共団体に拠出される募金団体に対する支出
⑥ 被災した同業者団体の構成員を支援するために支出される同業者団体への災害見舞金の支出
⑦ 被災地の取引先へ被災前の取引関係の維持・回復を目的として,通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間における支出2. 必ずしも100%損金にならないもの
① 認定を受けていない一般のNPO法人に対する震災義援金の支出
② 日本赤十字社の事業資金としての寄付金の支出
③上記のほか、最終的に国、地方公共団体に拠出されない義援金の支出あくまでも義援金は被災者に対する気持ちですので、損金になる・ならないの話はナンセンスかもしれませんが、会社の限られた資金の中で義援金を最大限に効率よく支出すると考えた場合には意味のあることかと思います。
上記の通り、100%損金になるものとならないものがありますので、その判断をするため義援金の専用口座への支出かどうか?最終的に国・地方公共団体に拠出されるものかどうか?が分かるように受領書などの証明書類の保管をお願いします。
また、寄付金は支出した日の属する事業年度で損金算入されます。決算時点で未払計上した場合は、その後に払った新年度の損金になりますのでご注意ください。 -
マイナンバーカードでe-Tax
2018年6月4日
e-Tax(電子申告)と呼ばれる「国税電子申告・納税システム」を利用すると、税務署に出向くことなく、インターネットを利用して申告や納税などの各種手続をすることができます。
利用するための流れは、次のとおりです。
(1)マイナンバーカードを取得
(2)ICカードリーダを準備
(3)国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で
①利用者識別番号(ID)を取得
②マイナンバーカードの電子証明書をe-Taxに登録
③申告書等データを作成、送信
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/e-tax/kojin_e-tax_mynumbercard30.pdf
更に、平成31年1月からe-Taxの利用手続がより便利になります。
(1)マイナンバーカード方式
e-TaxのID(利用者識別番号)やパスワード(暗証番号)を入力することなく、マイ
ナンバーカードを利用してe-Taxで申告できます。
(2)ID・パスワード方式(マイナンバーカードやICカードリーダが不要)
事前に税務署で職員と対面による本人確認を行い、その後発行されるID・パスワー
ドを利用してe-Taxで申告できます(マイナンバーカード及びICカードリーダが普
及するまでの暫定的な対応です)。
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/kojin_e-tax_riyou2.pdf
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平成29年4月以降の所得拡大税制(上乗せ措置)について
2018年6月4日
民主党政権から自民党安倍政権に代わり、国民の所得を増やすための起爆剤として導入された所得拡大税制ですが、みなさんきちんと利用されているでしょうか?
社員数が多いと計算がかなり大変な制度ですが、適用できた場合はかなりの節税が見込めることもあります。
平成30年度の税制改正ではガラリと計算方法が変わるようですが、変わる前の最後の年度である平成29年4月1日以後開始事業年度の所得拡大税制では、前年度より2%以上の賃上げをした場合には12%の上乗せ控除ができるようになりました。以前からの所得拡大税制の要件(すべてを満たす必要があります。)
① 基準年度(平成24年度。つまり民主党政権最後のころ)の給与より当期の給与が3%以上増加していること。
② 当期の給与総額が前期の給与総額より増加していること。
③ 当期の平均給与が前期の平均給与より増加していること。今回の上乗せ措置の要件
上記②の増加率が2%以上であること。以前からの所得拡大税制の要件を満たしている会社であれば、決算賞与を出すなどで上乗せ措置の恩恵をより多く受けることが可能になります。従業員への利益の還元と節税を両立できる制度ですので、要件を満たしそうな場合には計算をしてみてください。
上記の内容は中小企業の場合です。詳しい内容は経済産業省の『所得拡大税制ご利用ガイドブック~平成29年度税制改正版~』をご確認ください。
http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/syotokukakudaisokushin/pdf/29pamphlet2.pdf