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金の密輸増加に対応、仕入税額控除制度を見直し
2019年6月4日
消費税を免れて密輸した金を、国内の買取店で消費税込みで売却し、消費税相当額を不正に得る事例が後を絶たないようです。
懲役又は罰金の罰則も定められていますが、消費税率10%への引き上げも控え、平成31年度税制改正においてもその対応策が盛り込まれています。
消費税における仕入税額控除について、次の見直しが行われました。
1.密輸品と知りながら行った課税仕入れについて、仕入税額控除の適用を認めない(平成31年4月以後適用)
2.金又は白金の課税仕入れについて、本人確認書類の写しの保存を仕入税額控除の要件に加える(令和元年10月以後適用)
平成30年の全国の税関における金地金密輸入事犯の摘発状況(財務省)
https://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/safe_society/gold/cy2018/index.htm
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地方税共通納税システムが導入されます!
2019年6月4日
2019年10月から地方税共通納税システムが導入されます。
これは、複数の地方自治体へ一括して電子納税をすることができる制度です。
これまで複数の市区町村に支店や営業所を構える法人は、地方税の申告を各自治体ごとに納付書で納税しないといけなかったため、納税の事務が煩雑でした。
具体的には、①市町村ごとで納付書の形式が微妙にちがう。②取扱金融機関が自治体ごとで異なる。
③身近に取扱金融機関がないことがある。④取扱時間が銀行の営業時間内のため限定的である。⑤銀行窓口が混んでいる。などの問題点がありました。
この制度が導入された場合、電子申告後に電子納税の手続きをすることで、共通口座から一括ですべての自治体に納税することができます。また、手数料も無料です。
すでに電子納税やクレジット納付をやられている法人もいらっしゃいますが、この制度での導入で複数の支店を持つ法人は地方税の電子納税が一般的になるかもしれません。
地方税共通納税システムの特設ページ開設について
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キャッシュレス決済に伴うポイント還元制度の概要(中小事業者の方向け)
2019年5月8日
令和元年10月1日から9か月間、対象店舗でキャッシュレス決済をした方へポイント還元がされる制度の内容が徐々に明らかになってきました。
この制度は、消費税増税による消費の冷え込みを打開すると同時に、世界的に遅れているといわれている日本のキャッシュレス決済を促進するためのもののようです。今回初めて行われる制度であるため、平成31年4月末現在では、キャッシュレス決済手数料業者と対象店舗となる中小事業者の規模や対象取引のみが判明している状況です。
まず、キャッシュレス決済とは具体的にどのようなものかといいますと、クレジットカード・デビットカード、電子マネー、QRコード、モバイル決済などをいいます。決済方法から考えて、この制度の対象店舗となる業種には小売業が最も多くなると思われます。
また、ポイント還元事業の対象となる中小事業者とは、下記の規模の事業者となります。
1.製造業その他 資本金3億円以下、 従業員数300人以下
2.卸売業 資本金1億円以下、 従業員数100人以下
3.サービス業 資本金5千万円以下、従業員数100人以下
4.小売業 資本金5千万円以下、従業員数 50人以下
なお、この規模であっても登録申請時の前3年間の課税所得の年平均が15億円を超える事業者、病院や保険薬局などそもそも消費税が課されない事業者や風俗店など制度の趣旨から適切でないとみられる事業者は対象外となります。また、コンビニやガソリンスタンドなどのフランチャイズに加盟している中小事業者は、上記要件を満たしている場合には2%のポイント還元(通常の中小事業者は5%)となります。
ポイント還元の対象外となる取引には、切手や印紙などそもそも消費税が非課税の取引やふるさと納税や寄付金などそもそも消費税が課税されない取引は対象外となっております。また、宝くじや自動車(新車、中古車)の販売や新築住宅の販売も対象外となっております。
中小事業者に該当する方で、自社の業務内容がポイント還元の対象になる場合は、クレジットカード会社などの決済事業者に連絡していただき、決済事業者に登録を代行してもらう流れになります。
新たな決済方法を導入するにはコストや手間がかかりますが、今後の集客力アップにもつながります。中小企業同士でも同業他社が積極的にキャッシュレス決済を導入した場合には、自社だけが取り残される場合もあるかもしれません。9月までに取捨選択を含めてご判断をお願いします。
一般社団法人キャッシュレス推進協議会 HPより https://cashless.go.jp/
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個人版事業承継制度
2019年5月8日
個人版事業承継税制は、青色申告に係る事業(不動産貸付事業等を除きます。)を行っていた事業者の後継者として円滑化法の認定を受けた者が、個人の事業用資産を贈与又は相続等により取得した場合において、その事業用資産に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度です。
この制度の対象となる「特定事業用資産」とは、先代事業者(贈与者・被相続人)の事業の用に供されていた次の資産で、贈与又は相続等の日の属する年の前年分の事業所得に係る青色申告書の貸借対照表に計上されていたものをいいます。
① 宅地等(400㎡まで)
② 建物(床面積800㎡まで)
③ ②以外の減価償却資産で次のもの
・固定資産税の課税対象とされているもの
・自動車税・軽自動車税の営業用の標準税率が適用されるもの
・その他一定のもの(貨物運送用など一定の自動車、乳牛・果樹等の生物、特許権等の無形固定資産)
例外として、先代事業者が、配偶者の所有する土地の上に建物を建て、事業を行っている場合における土地など、先代事業者と生計を一にする親族が所有する上記①から③までの資産も、特定事業用資産に該当します。
また、後継者が複数人の場合には、上記①及び②の面積は各後継者が取得した面積の合計で判定します。
上記の個人版事業承継税制の適用に当たっては、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に基づく認定等が必要となります。平成31年4月1日から令和6年3月31日までに「個人事業承継計画」を都道府県知事に提出し、確認を受けた者に限ります。
詳しくは国税庁HPをご覧ください。
HP: https://www.nta.go.jp/publication/pamph/jigyo-shokei/pdf/0019004-009.pdf
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固定資産税の縦覧制度について
2019年4月2日
固定資産税は1月1日の所有者に課税される税金ですが、法人税や所得税のように納税者自ら申告して納税する税金(申告納税方式といいます)とは異なり、役所が固定資産(家屋と土地です)を評価し、税額を計算する税金(賦課課税方式といいます)です。
このため、納付書が来たら税金を納めるだけで特に内容は気にしていない納税者の方も多いと思います。納付書の綴りの別ページに固定資産税の課税明細書が付いていますが、そこで評価されている金額が適正かどうかは、それを見るだけではなかなか難しいものです。
そこで、自分の固定資産の評価額が適正なものかを調べるため、他の所有者の評価額と比較できる制度が『縦覧』で、4月1日からスタートします。(縦覧の終わる期間は役所によって異なります。ちなみに横浜市は5月7日までです。)
縦覧は無料で、納税者またはその代理人(委任状が必要)が行うことができます。縦覧の結果、もし評価額が高すぎるのではないかと感じた場合は、納税通知書を受け取った日の翌日から3か月以内に固定資産評価審査委員会に対して審査の申出をすることができます。
縦覧とは別に、固定資産税の課税明細書だけでもチェックしていただきたい点があります。土地のうち、住宅に対しては200㎡以下のものは『小規模住宅用地』として固定資産税が1/6、200㎡超のものは『住宅用地』として固定資産税が1/3になっています。これは、自宅だけではなく、賃貸アパートの土地にも適用があり、さらにその賃貸アパートの専用駐車場にも適用があります。この適用がきちんとなされているかどうかの確認をお願いします。小規模住宅用地には『小規模』、住宅用地には『一般』、軽減措置のない土地には『非住宅』と書かれています。普通、駐車場用地は『非住宅』ですが、賃貸アパートの専用駐車場は『小規模』となっているべきです。ところが、役所ではこの判断が難しいので『非住宅』のまま課税されている可能性があります。もし間違っていれば、6倍の税金を払っていたことになりますので、お気をつけください。
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出国税について
2019年4月2日
2019年1月7日に新たに出国税(国際観光旅客税)が導入されました。
出国税は、原則として、船舶又は航空会社(特別徴収義務者)が、チケット代金に上乗せする等の方法で、日本から出国する旅客(国際観光旅客等)から徴収(出国1回につき1,000円)し、これを国に納付するものです。
具体的には、海外旅行に行く日本人や、日本に旅行に来て帰国する外国人などが対象となりますが、乗継旅客(入国後24時間以内に出国する者)などは、課されません。
航空券代やツアー料金に加算され、空港で徴収されることはありませんので、気付かないうちに出国税を徴収されていることも多いでしょう。
国税庁HPより
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/kansetsu/kanko/index.htm
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消費税率等に関する経過措置
2019年3月4日
2019年10月1日を施行日として、消費税及び地方消費税の新税率が適用されます。ただし「経過措置」が適用される取引については、施行日以後も現行の税率が適用されます。
例えば、商品販売契約の締結が10月1日前であったとしても、商品の引渡しが10月1日以後に行われる場合には、新税率が適用されます。
請負工事等
請負工事の場合、工事を完成して引き渡した時の消費税等の税率が適用されます。しかし、2019年4月1日を「指定日」とし、指定日の前日(3月31日)までに契約を締結した一定の請負工事は、経過措置が適用され、施行日以後の引渡しであっても原則として旧税率が適用されます。
経過措置が適用される取引は、必ず旧税率を適用しなければならず、新税率との選択適用はできません。
主な経過措置については、国税庁のリーフレットをご参照ください。
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/01.pdf
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/02.pdf
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/03.pdf