株式会社横浜中央経理社会保険労務士法人

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中小企業お役立ち情報税務

  • 〈役員等の勤続年数が5年以下の者に対する退職手当等〉

    2021年8月3日

    税務

    [令和2年4月1日現在法令等]

     退職所得の金額は、その年中に支払を受ける退職手当等の収入金額から、その者の勤続年数に応じて計算した退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額とされていますが、役員等としての勤続年数(以下「役員等勤続年数」といいます。)が5年以下の者(以下「特定役員等」といいます。)が、その役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるもの(以下「特定役員退職手当等」といいます。)については、この残額の2分の1とする措置はありません。

    1 特定役員等とは

     特定役員等とは、役員等勤続年数が5年以下である者をいいますが、この「役員等」とは、次に掲げる人をいいます。

    • ①法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事、清算人や法人の経営に従事している者で一定の者
    • ②国会議員や地方公共団体の議会の議員
    • ③国家公務員や地方公務員

     また、役員等勤続年数とは、役員等に支払われる退職手当等の勤続期間のうち、役員等として勤務した期間の年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を1年に切り上げたもの)をいいます。

    (例) 役員等として勤務した期間が4年11月の場合は、役員等勤続年数が5年となることから、特定役員等に該当することになります。また、役員等として勤務した期間が5年1月の場合は役員等勤続年数が6年に該当することから特定役員等には該当しません。

    2 退職所得の計算方法

     特定役員退職手当等についての退職所得の金額の計算方法は、原則として次のとおり行います。

    (1) その年中に支払われる退職手当等が、特定役員退職手当等のみの場合

     特定役員退職手当等の収入金額 - 退職所得控除額

    (2) その年中に支払われる退職手当等が、特定役員退職手当等と特定役員退職手当等以外の退職手当等の場合

    • 次の(イ)と(ロ)の合計額となります。
      • (イ)特定役員退職手当等の収入金額 - 特定役員退職所得控除額(注)
      • (ロ){退職手当等の収入金額 - (退職所得控除額 - 特定役員退職所得控除額)} × 1/2

    (注) 特定役員退職所得控除額は、次の算式により求めます。

     なお、特定役員等の勤続期間と特定役員等でない勤続期間の両方があり、その2つの期間が重複している場合には、その重複する勤続年数(重複している期間に1年未満の端数がある場合には、これを1年として計算します。)部分について調整計算を行う必要があります。

    ① 重複期間がない場合

    40万円 × 特定役員等勤続年数

    ② 重複期間がある場合

    40万円 × (特定役員等勤続年数 - 重複勤続年数)

     + 20万円×重複勤続年数

    (例1)役員としての勤続期間:4年9か月

    •  ・役員退職金 500万円
    •  ・勤続年数5年(うち役員勤続年数5年……特定役員に該当)
    •  ・退職所得金額:500万円 - (40万円 × 5年) = 300万円

    このケースでの退職所得金額は300万円となります。

    (例2)使用人として10年勤務し、その後役員に就任して3年間勤務した後、退職したケース

    •  ・使用人退職金 800万円、役員退職金500万円
    •  ・勤続年数:13年(うち役員勤続年数3年・・・・・・特定役員に該当)
    •  ・退職所得控除額: 40万円×13年=520万円
    •  ・特定役員退職所得控除額: 40万円×3年=120万円 
    •  ・退職所得金額: (500万円-120万円)+{800万円-(520万円-120万円)}×1/2 = 580万円

    このケースでの退職所得金額は580万円になります。

    (例3)使用人として10年勤務し、その後使用人兼務役員に就任して3年間勤務、その後使用人の地位を喪失し、2年間役員専任として勤務して退職したケース

    • ・使用人退職金(使用人兼務役員期間の使用人部分を含む):800万円
    • ・役員退職金(使用人兼務役員期間の役員部分を含む):500万円
    • ・勤続年数15年(うち役員等勤続年数は、使用人兼務役員の期間3年と役員専任の期間2年の合計5年・・・・・・特定役員に該当)
    • ・退職所得控除額: 40万円×15年=600万円
    • ・特定役員退職所得控除額
      この例では、使用人兼務役員としての勤務期間に、使用人期間と役員期間が3年間重複していますので、上記(2)の注書きの調整計算を行います。
      40万円×(5年-3年)+ 20万円×3年=140万円
    • ・退職所得金額
      (500万円-140万円)+{800万円-(600万円-140万円)}×1/2= 530万円

    このケースでの退職所得金額は530万円になります。

    (所法30、201、所令69、69の2、71の2、319の3)

    国税庁 No.2737 役員等の勤続年数が5年以下の者に対する退職手当等

    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2737.htm

  • 低解約返戻保険等の改正所得税通達を公表

    2021年7月2日

    税務

    国税庁は6月25日、改正所得税基本通達36-37「保険契約等に関する権利の評価」を公表しました。

    問題となっていたのは、契約当初から一定期間の解約返戻金の額が低く設定されている法人契約の「低解約返戻金型逓増定期保険」です。

    (例)年間保険料1,000万円、最高解約返戻率70%超85%以下

    4年目 解約返戻金 120万円(3%) 資産計上額 2,400万円

    5年目 解約返戻金 4,250万円(85%)

    この例は、4年目まで解約返戻金が低く設定され、5年目から跳ね上がる保険です。

    4年目の保険料支払後、解約返戻金の額120万円で法人から社長に契約変更した場合、法人は4年間で支払った保険料4,000万円の内、120万円を除いた3,880万円を損金に算入することになります。

    一方の社長は、5年目に保険料1,000万円を支払った後に解約すると、1,120万円の支出で解約返戻金4,250万円を得ることになり、この場合の税金も一時所得なので、50万円の特別控除後の2分の1課税となり優遇されています。

    そこで、「解約返戻金<資産計上額×70%」の一定の低解約返戻保険、復旧可能な払済保険など解約返戻金の額が著しく低い保険契約等については、法人の資産計上額で評価する見直しがされました。

    これにより、上記の例で言えば、法人の損金算入額は3,880万円から1,600万円に減少し、社長の支出額は1,120万円から3,400万円に増加して、節税効果は減少します。

    この改正は、令和3年7月1日以降に「低解約返戻金型保険」等に関する権利を役員等に支給した場合に適用されます(令和元年7月8日以後に締結した保険契約に限ります)。

    国税庁HPより

    https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/210621/index.htm

  • 災害見舞金等の源泉所得税の取扱い

    2021年7月2日

    税務

    【災害見舞金の支給①】

    [Q] 当社では、被災した従業員や役員に対し、住宅や家財の損害の程度に応じて見舞金を支給することにしました。この見舞金については、給与として源泉徴収が必要でしょうか。

    [A] 個人が心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金(役務の対価たる性質を有するものを除きます。)については、所得税は課されません (所法9①十七、所令30三)。

     会社が、被災者の所有資産の損害の程度(全壊、半壊、床上浸水、床下浸水など)に基づき見舞金の支給額を定めるなど、損害の程度に応じて一定の基準をもって見舞金の支給額を定めている場合には、「相当の見舞金」に該当すると考えられるため、給与として源泉徴収をする必要はありません。

    【災害見舞金の支給②】

    [Q] 当社では、慶弔見舞金規程を改めて、従業員や役員の父母等の家屋が災害により被害を受けた場合、従業員や役員に対し一定の見舞金を支給することにしました。この見舞金については、給与として源泉徴収が必要でしょうか。

    [A] 個人が支払を受ける葬祭料、香典又は災害等の見舞金で、その金額がその受贈者の社会的地位、贈与者との関係等に照らし社会通念上相当と認められるものについては、課税しないものとされています(所基通9-23)。

     会社が、従業員や役員に対し、従業員や役員と被災した親族との関係、被災の程度に応じた一定の基準により見舞金を支給する場合には、その支払われる見舞金が社会通念上相当なものと認められるときは、給与として源泉徴収をする必要はありません。

    【生活資金の無利息貸付】

    [Q] 当社では、被災した従業員に対して、当面の生活に必要な資金を無利息で貸与することにしました。この場合、貸付期間に応ずる利子相当額の経済的利益については、給与として源泉徴収が必要でしょうか。

    [A] 災害、疾病等により臨時的に多額の生活資金を要することとなった従業員や役員に対し、その資金に充てるために無利息又は低利で貸し付けた金額につき、その返済に要する期間として合理的と認められる期間内に従業員や役員が受ける経済的利益については、課税しなくて差し支えないこととされています(所基通36-28(1))。

     例えば、被災した従業員に対して、生活に必要な資金を、損害の程度に応じた返済期間を定め、無利息で貸し付けた場合の利息相当額の経済的利益については、合理的と認められる期間内に受ける経済的利益と考えられますので、給与として源泉徴収をする必要はありません。

    【社宅の無償貸与】

    [Q] 当社では、自宅が災害により居住不能になった従業員や役員に対して、新たな住居に入居できるまで又は自宅の修繕が完了して居住可能となるまでの間、無償で社宅を貸与することにしました。この場合、無償で社宅を貸与することによる経済的利益については、給与として源泉徴収が必要でしょうか。

    [A] 個人が心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金(役務の対価たる性質を有するものを除きます。)については、所得税は課されません (所法9①十七、所令30三)。

     例えば、被災した方が新たな住居に入居できるまで又は自宅の修繕が完了して居住可能となるまでの間、無償で社宅を貸与する場合には、その貸与期間に受ける家賃相当額の経済的利益は「相当の見舞金」に該当するものと考えられるため、給与として源泉徴収をする必要はありません。

    【他の交通手段による交通費の支給】

    [Q] 当社では、従業員が災害や計画停電により通勤に利用する鉄道が利用できないため、タクシーなど他の交通手段を利用した場合には、他の交通手段に係る交通費を支給することにしています。この場合において、その支給する交通費は給与として源泉徴収が必要でしょうか。

    [A] 給与所得者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるために支給される金品で、その旅行に通常必要と認められるものは非課税とされています(所法9①四)。


     通勤に利用する交通手段が災害などにより利用することができないため、他の交通手段を利用した場合に支給する実費相当額の交通費については、その利用した交通手段が合理的なものであれば、その支給した交通費は旅費に準じて非課税と考えられるため、給与として源泉徴収をする必要はありません。

    (注) 災害などにより交通手段が遮断されたため、やむを得ず宿泊した場合において実費で支給する宿泊費用も、同様に取り扱われると考えられます。

    国税庁

    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/higashinihon/hojin_shohi_gensenFAQ/answer13.htm

  • 〈電車・バス通勤者の通勤手当〉

    2021年6月2日

    税務

     役員や使用人に通常の給与に加算して支給する通勤手当や通勤定期券などは、一定の限度額まで非課税となっています。
     電車やバスなどの交通機関だけを利用している人と交通機関のほかにマイカーや自転車なども使っている人の通勤手当などの非課税となる限度額については以下のとおりです。

    Ⅰ 電車やバスだけを利用して通勤している場合

     この場合の非課税となる限度額は、通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額です。
     新幹線鉄道を利用した場合の運賃等の額も「経済的かつ合理的な方法による金額」に含まれますが、グリーン料金は含まれません。
     最も経済的かつ合理的な経路及び方法による通勤手当や通勤定期券などの金額が、1か月当たり15万円を超える場合には、15万円が非課税となる限度額となります。

    Ⅱ 電車やバスなどの他にマイカーや自転車なども使って通勤している場合

     この場合の非課税となる限度額は、次の(1)と(2)を合計した金額ですが、1か月当たり15万円が限度です。

    1. (1) 電車やバスなどの交通機関を利用する場合の1か月間の通勤定期券などの金額
    2. (2) マイカーや自転車などを使って通勤する片道の距離で決まっている1か月当たりの非課税となる限度額

     1か月当たりの非課税となる限度額を超えて通勤手当や通勤定期券などを支給する場合には、超える部分の金額が給与として課税されます。
     この超える部分の金額は、通勤手当や通勤定期券などを支給した月の給与の額に上乗せして所得税及び復興特別所得税の源泉徴収を行います。
     なお、通勤手当などの非課税となる限度額は、パートやアルバイトなど短期間雇い入れる人についても、月を単位にして計算します。

    国税庁  No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当

    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2582.htm

  • 〈退職所得課税の適正化〉

    2021年6月2日

    税務

     退職所得については、長期間にわたる勤務の対価が一時期にまとめて後払いされるものであることや、退職後の生活保障的な所得であること等を考慮し、退職所得控除額を控除した残額の2分の1を退職所得金額とされてきました。

     それを前提に、意図的に短期間勤務予定の従業員の給与を下げ、代わりに高額な退職金を支払うことにより、税負担を軽減している事例が指摘されており、これを是正するために勤続年数5年以下の従業員に関する退職金について、課税が強化されることになりました。

    【改正の内容】

     短期退職手当等に係る退職所得の金額については、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額とされました。

    イ その短期退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額が300万円以下である場合・・・その残額の2分の1に相当する金額

    ロ 上記イに掲げる場合以外の場合・・・150万円とその短期退職手当等の収入金額から300万円に退職所得控除額を加算した金額を控除した残額との合計額

    *短期退職手当等とは、退職手当等のうち、退職手当等の支払をする者から短期勤続年数(勤続年数のうち、役員等以外の者としての勤続年数が5年以下であるものをいいます。)に対応する退職手当等として支払を受けるものであって、特定役員退職手当等に該当しないものをいいます。

    *勤続年数5年以下の役員等の退職手当等(特定役員退職手当等)については、2分の1課税を適用しないこととされています。

    短期退職手当等に係る退職所得の金額の計算方法

    短期退職手当等の支給額:1,000万円 勤続年数:5年 の場合

    改正前 (1,000万円-40万円×5年)×1/2=400万円

    改正後 150万円+{1,000万円-(300万円+40万円×5年)}=650万円

    適用時期 令和4年分から適用されます。

    源泉所得税の改正のあらまし(国税庁)

    https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0021004-072.pdf

  • 固定資産税の増額据え置き

    2021年5月7日

    税務

    固定資産税は、毎年1月1日に土地や家屋、償却資産を所有している者に課税される税金です。

    基本的に3年ごとに土地や建物の評価替えが行われ、その評価額をもとに課税標準額が決定されます。

    令和3年度は、3年ごとの評価替えの年に当たり、地価は上昇傾向にあったため、課税標準額は上昇する可能性がありました。

    しかし、税負担の増加により新型コロナウイルスの影響が収まった後の経済回復に悪影響が出る可能性があると判断され、土地について、令和3年度の課税額が、令和2年度を上回る場合、令和3年度の税額は据え置きになり、課税額が減る場合は、そのまま課税額の引き下げが行われることになりました。

    横浜市HPより

    令和3年度固定資産税(土地)の税額計算の仕組み 横浜市 (yokohama.lg.jp)

  • 国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請

    2021年5月7日

    税務

    法人、個人を問わず、帳簿書類については一定期間の保存義務があります。

    スキャナ保存制度とは、取引の相手先から受け取った請求書等および自己が作成したこれらの写し等の国税関係書類について、税務署長等の承認を受けた場合には、書面による保存に代えて、一定の要件の下で、スキャン文書による保存が認められる制度です。

    【手続根拠】

    電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律第4条第3項、第6条第2項

    【手続対象者】

    国税関係書類の全部または一部について、スキャナで読み取った電磁的記録による保存を行おうとする保存義務者

    【提出時期】

    承認を受けようとする国税関係書類をスキャナで読み取った電磁的記録による保存に代える日の3月前の日まで

    【提出方法】

    申請書を1部(承認を受けようとする書類が次に該当する場合は2部)作成し、添付書類を添付の上、提出先に持参または送付してください。

    ①国税局において課税標準の調査および検査を行うこととされている法人の、法人税および消費税に係る書類

    ②国税局において課税標準の調査および検査を行うこととされている製造場等の酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、航空機燃料税、石油ガス税、石油石炭税、印紙税、電源開発促進税および国際観光旅客税に係る書類

    【手数料】

    不要です。

    【添付書類・部数】

    ①承認を受けようとする国税関係書類の保存を行う電子計算機処理システムの概要を記載した書類 1部

    ②承認を受けようとする国税関係書類の保存を行う電子計算機処理に関する事務手続の概要を明らかにした書類(当該電子計算機処理を他の者に委託している場合には、その委託に係る契約書の写し) 1部

    ③申請書の記載事項を補完するために必要となる書類、その他参考となるべき書類 1部

    なお、承認を受けて保存を開始する日前に作成または受領した重要書類については、所轄税務署長等に適用届出書を提出した時は、一定の要件の下、スキャナ保存することができます。市販のソフトウェアのうち、JIIMAの認証を受けているものについては、下記のリンクをご確認下さい。

    国税庁 [手続名]国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請

    https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/3030_01.htm

    国税庁 JIIMA認証情報リスト(電帳法スキャナ保存ソフト)

    https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/11.htm

    国税庁 電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】

    https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/07scan/index.htm

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