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〈完全子法人株式等の配当は源泉徴収不要に〉
2022年4月4日
100%のグループ関係にある完全子法人から親法人が配当を受ける場合など、その配当の支払時に源泉徴収が行われますが、源泉徴収された所得税等は、親法人の確定申告において税額控除され、還付金の支払等が行われる仕組みとなっています。
一方で、完全子法人からの配当については、親法人の法人税の算定にあたり、全額を益金不算入とすることが認められており、法人税が課されないにもかかわらず、源泉徴収の対象としていることについて、効率性、有効性等を高める検討を行うべ きとの指摘があります。
源泉徴収がなければ発生しなかった還付加算金が888社で約3億6,563万円あるとの会計検査院からの指摘です。そこで、令和4年度税制改正において、「完全子法人株式等」と「一部の関連法人株式等」に係る配当等については、所得税を課さず、源泉徴収を行わないこととされました。
この改正は、令和5年10月1日以後に支払を受けるべき配当等より適用されます。
金融庁HPより
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〈NISA制度〉
2022年4月4日
金融所得課税の見直しが検討されている中で、上場株式等の配当等や譲渡益が非課税となるNISA制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
1.NISAの概要
NISAは、20歳以上(口座開設の年の1月1日現在)の居住者等を対象として、平成26年から令和5年までの間に、非課税口座で取得した上場株式等(投資額は年間120万円が上限)について、その配当等やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益が、非課税管理勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長5年間非課税とされる制度です(年分ごとにつみたてNISAとの選択適用)。
(注1) 「20歳」とあるのは、令和5年1月1日以後に非課税口座を開設する場合については「18歳」となります。
(注2) 非課税とされる配当等は非課税口座を開設する金融機関を経由して交付されるものに限られていますので、上場株式等の発行者から直接交付されるものは課税扱いとなります(つみたてNISAおよびジュニアNISAにおいても同様です。)。
(注3) 非課税口座で取得した上場株式等を売却したことにより生じた損失はないものとみなされます。したがって、その上場株式等を売却したことにより生じた損失について、特定口座や一般口座で保有する上場株式等の配当等やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益との損益通算や、繰越控除をすることはできません(つみたてNISAおよびジュニアNISAにおいても同様です。)。2.つみたてNISAの概要
つみたてNISAは、20歳以上(口座開設の年の1月1日現在)の居住者等を対象として、平成30年から令和24年までの間に、非課税口座で取得した一定の投資信託(投資額は年間40万円が上限)について、その収益の分配やその投資信託を売却したことにより生じた譲渡益が、累積投資勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長20年間非課税とされる制度です(年分ごとにNISAとの選択適用)。
(注) 「20歳」とあるのは、令和5年1月1日以後に非課税口座を開設する場合については「18歳」となります。3.ジュニアNISAの概要
ジュニアNISAは、20歳未満(口座開設の年の1月1日現在)またはその年に出生した居住者等を対象として、平成28年から令和5年までの間に、未成年者口座で取得した上場株式等(投資額は年間80万円が上限)について、その配当等やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益が、非課税管理勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長5年間非課税とされる制度です。
なお、NISAやつみたてNISAと異なり、上場株式等の配当等や売却代金の払出しに一定の制限が設けられています。
(注) 「20歳」とあるのは、令和5年1月1日以後に非課税口座を開設する場合については「18歳」となります。国税庁 No.1535 NISA制度
国税庁 NISA及びつみたてNISAの手続に関するQ&A(令和元年7月)
国税庁 ジュニアNISAの手続に関するQ&A(令和元年7月) -
所得税等の確定申告の申告期限について
2022年3月2日
オミクロン株による感染の急速な拡大に伴い、確定申告期間(申告所得税:2月16 日~3月15 日)にかけて、感染者や自宅待機者のほか、通常の業務体制が維持できないこと等により、申告が困難となる納税者が増加することが想定されます。
こうした状況を踏まえ、令和3年分確定申告について、新型コロナウイルス感染症の影響により申告等が困難な方については、令和4年4月15 日までの間、簡易な方法により申告・納付期限の延長を申請することができるようにしました。(注1) 具体的には、期限後に申告が可能となった時点で、申告書の余白等に新型コロナウイルスの影響により延長を申請する旨を記載する方法です(申請書の提出は不要)。
(注2) 申告所得税以外の税目も同様の取り扱いとなります。
詳細は、下記リンク先のFAQをご参照ください。国税庁HPより
0022001-187_04.pdf (nta.go.jp) -
令和4年度 賃上げ促進税制
2022年3月2日
いわゆる賃上げ税制については、2013年度からの5年間は、賃上げだけではなく雇用増でも適用可能な制度であった。また、足下ではコロナ禍における雇用対策を目的に、新卒等の新規雇用者のみを対象とした制度となっていた。これを見直し、1人ひとりの賃上げ促進に寄与する税制へと抜本的に強化する。(適用期限:令和5年度末まで)
① 大企業向け(主に資本金1億円超)
● 継続雇用者(注1)の給与(給与等支給総額)が前年度比3%以上増加した場合に、雇用者全体の賃上げ額(給与増加額)の15%の税額控除(注2)。また、前年度比4%以上増加した場合には、25%の税額控除(注2)。
ただし、資本金10億円以上かつ常時使用従業員数1,000人以上の企業については、従業員や取引債などのマルチステークホルダーへの配慮についての方針(賃上げに関するものも含む)の公表が必要。
● さらに、人的投資の要件を満たした場合には税額控除率が5%上乗せ(注2)となり、最大30%の税額控除。② 中小企業向け
● 雇用者全体の給与(給与等支給総額)が前年度比1.5%以上増加した場合に、その増加額の15%を税額控除(注2)。また、前年度比2.5%以上増加した場合には、30%の税額控除(注2)。
● さらに、人的投資の要件を満たした場合には税額控除率が10%上乗せ(注2)となり、最大40%の税額控除。
(注1)継続雇用者とは、当期及び前期の全期間の各月分の給与等の支給がある雇用者。
(注2)控除上限は法人税額等の20%。また、税額控除の対象となる給与等支給総額は雇用保険の一般被保険者に限られない。経済産業省(令和3年12月) 令和4年度(2022年度)経済産業関係 税制改正について
zeiseikaisei.pdf (meti.go.jp) -
〈令和3年分の確定申告がはじまります〉
2022年2月2日
令和3年分の所得税・消費税・贈与税の申告期間は、令和4年2月1日現在、昨年までのように1ヵ月期限が延長されてはいませんので、ご注意ください。一方で今年も納税猶予制度は設けられており、猶予が認められれば通常年8.7%の延滞税も令和4年中は年0.9%に軽減されます。
また令和3年分確定申告(令和4年1月~)から、特定口座年間取引報告書(上場株式等の譲渡所得等・配当所得等)、上場株式等の譲渡損失額(前年繰越分)及び外国税額控除がスマホの画面の大きさに適したレイアウトで表示され、入力しやすくなります。
さらに所得税の申告において、倒産防止共済掛金を必要経費に算入する場合には、明細書の添付・提出が必要となります。
期限に余裕をもって申告を済ませるようにしましょう。
国税庁 令和3年分 確定申告に関する情報の総合窓口 確定申告特集
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/link.htm
国税庁 令和3年分の確定申告においてご留意いただきたい事項
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei/ryuiten.pdf
国税庁 令和4年1月版 新型コロナウイルスの影響により国税の納付が困難な方へ 猶予制度があります
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan/pdf/0021001-141_04.pdf
国税庁 特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/02/pdf/061.pdf
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〈免税事業者及び取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A〉
2022年2月2日
公正取引委員会より、消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)に関し、事業者の方々から寄せられている質問、特に免税事業者やその取引先の対応に関する考え方を明らかにしたQ&Aが公表されました。
制度への理解を深め、必要な対応を検討する際に活用することを目的として、次の7問からなっています。
Q1 インボイス制度が実施されて、何が変わりますか。
Q2 現在、自分は免税事業者ですが、インボイス制度の実施後も免税事業者であり続けた場合、必ず取引に影響が生じるのですか。
Q3 売上先がQ2のいずれにも当てはまらない場合、免税事業者の取引にはどのような影響が生じますか。
Q4 免税事業者が課税事業者を選択した場合には、何が必要になりますか。
Q5 現在、自分は課税事業者ですが、免税事業者からの仕入れについて、インボイス制度の実施に当たり、どのようなことに留意すればいいですか。
Q6 課税事業者が、インボイス制度の実施後に、新たな相手から仕入れを行う場合には、どのようなことに留意すればいいですか。
Q7 仕入先である免税事業者との取引について、インボイス制度の実施を契機として取引条件を見直すことを検討していますが、独占禁止法などの上ではどのような行為が問題となりますか。
https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/invoice_qanda.html
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令和4年度税制改正大綱がまとまる
2022年1月11日
税制調査会は「成長と分配の好循環の実現」「経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し」等を柱に令和4年度税制改正大綱をとりまとめました。
賃上げについては、税額控除率を大企業で最大30%、中小企業で最大40%に拡充します。また、一定規模以上の大企業に対して、従業員をはじめ関係する方に配慮した経営への取組みを宣言することを求めています。住宅ローン控除は4年間延長、省エネ性能等の高い認定住宅について借入限度額を上乗せし、新築住宅については控除期間を13年とすることとしています。その他、オープンイノベーション促進税制を拡充するほか、土地に係る固定資産税等の負担調整措置について令和4年度に限り所要の処置を行います。この税制改正大綱をもとに法案が作成され、国会で審議・成立ののち施行される流れとなります。
自民党 令和4年度税制改正大綱
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財務省 税制改正の概要