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中小企業の金融基礎知識 第10回
2017年5月10日
リスケジュールとは、毎月の融資返済が厳しくなり、金融機関に依頼して毎月の元金返済を少なくしてもらう事や、元利金の返済の猶予をしてもらう事を言います。
自社の状況を踏まえながら、追加融資が厳しい場合はこの選択も致し方ないと思いますが、そう簡単にはいかないのが現状です。リスケジュールをする事は確かに資金繰りを楽にする行為ではありますが、当初の条件どおり返済が出来なくなったことになるので、金融機関の評価がかなり下がります。当然ながら、条件を戻さない限り追加融資は出来なくなります。
(1) リスケジュールすると会社の評価はどうなるのか
7項で説明した銀行の格付けの話の中で「債務者区分」という事に触れましたが、リスケジュールをすると基本的には「要管理先」という位置付けとなり、金融機関はその債権に対し、引当金の率を大幅に上げなければなりません。ですので、金融機関もリスケジュールについては極力応じたくないのが本音です。
(2)金融円滑化法
リーマンショック後の平成20年12月に業績悪化する中小企業を救う特別措置として「金融円滑化法」という法律が出来ました。この法律の意味は、金融機関が企業側からリスケジュールを申し込まれた場合、本来ならば「要管理先」債権にしなければならないものが、ランクを落とさずに「正常先」もしくは「要注意先」のままで良いです、という内容のものです。つまり、リスケジュール債権について引当金率の引き上げを行わなくてもよいという事になったのです。その為に金融機関が割りと積極的にリスケジュールに対応してくれるようになったのです。しかし、この法律は度重なる延長の末、平成25年3月を持って終了してしまったのです。ただ、終了してしまうと、金融機関はリスケジュール中の債権について引当金率を引き上げなければならなくなり、貸し剥がしの懸念もあるので、金融庁が猶予期間を設け、5~10年以内に経営改善が出来る企業であれば、引き続き「債務者区分」を落とさなくても良いということになりました。但し、その為には実現可能な抜本的経営改善計画書の作成が条件という事になりました。
(3) 経営改善計画書の運用
しかし、現状ですべてのリスケジュール先にそれを求めてくるかと言えばそうでもありません。それは、中小企業の場合、大抵は担保付融資か協会保証がついている為、そもそもの対象債権があまりないからと思われます。現実的には保証協会がOKを出せば、追加保証料を支払うことでリスケジュールに応じてくれる状況のようです。ただ、容易に応じてくれるからと言って甘えてはいけません。リスケジュールはあくまでも応急措置であり、その後の企業再生が最も重要で、金融庁がいう10年以内には黒字化、資金繰りの改善が出来て、条件を戻す努力が必要です。その為には、やはり実現可能な経営改善計画書の策定は必 要なのです。そしてリスケジュールの依頼の際には、その計画書を提示し、何を実行することで赤字経営を脱却し、いつになったら返済を開始できるのかを説明する事が大切です。
(4) 経営改善計画書の作成
しかし、実現可能な抜本的経営改善計画書といっても、作成する事は困難だと思われます。その為に国は「認定支援機関」というのを設けました。これは金融機関や税理士、弁護士等の専門家が国の認定を受け、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行える制度です。
我々も平成24年12月にこの認定を受けました。この認定を受けている専門家に経営改善計画のお手伝いをしてもらえるのです。費用についても、今のところ国が係る費用の2/3を負担してくれる補助金があるので、かなり安価な値段で経営改善計画を策定する事が出来ます。
(5) リスケジュールのルール
リスケジュールには暗黙のルールがあります。例えばA銀行とB銀行にそれぞれ借入があるとします。A銀行の債務のみリスケジュールしてB銀行の返済はそのままというわけにはいかないのです。元金返済を0にしてもらうならば、AとB両方の同意を得なければなりません。ただ残債の多い金融機関に交渉をしてOKがでれば、他行はよほどの事がない限りNOとは言いませんので、交渉する順番は残債の多いところからはじめると良いでしょう。元金返済をする際も同様で、その場合はそれぞれの残債額の割合で返済をしなければなりません。仮にA銀行に1000万円、B銀行に500万円あったとして、A銀行に10万円返済することになれば、B銀行にも5万円返済しなければならないのが、暗黙のルールとなります。
(6) リスケジュールを行う際の注意点
長々といろいろな説明をしましたが、現状を話すと金融機関はリスケジュールには応じてくれます。但し、資金繰り悪化→追加融資出ない→リスケジュールと安易に考えてはいけません。リスケジュールをすると追加融資は一切でないので、自社の現状を十分把握し、資金繰り悪化の要因が元金返済の猶予を受けるだけで改善するのかどうか、最低でもこれを見極めないと近い将来確実に資金ショートします。何度も言いますが、リスケジュールという結論の前に必ず自社の状況を見極めてください。そして、リスケジュール以外に出来うることは行い、返済猶予を受ければ何とか資金が廻る算段がついてからリスケジュールを行うようにしてください。自分自身で決断するのではなく、税理士などの専門家とよくよく相談しながら実行に移してください。※リスケジュールの決断は、資金繰りに精通する専門家の意見を聞きながら行うことが必需です。上記経営改善計画書の件も含め、悩んだらまず当社に問い合わせてください。
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中小企業の会計処理による保証料率割引の取扱いについて
2017年4月4日
全国統一制度として実施している「中小企業の会計処理による保証料率割引」のうち、「中小企業の会計に関する基本要領(以下、会計要領割引といいます)」に基づく保証料率割引につきましては、平成29年3月31日をもって終了となることになりました。
都道府県によって経過措置期間が異なりますので、ご注意ください。
東京都信用保証協会 http://www.cgc-tokyo.or.jp/cgc_kaikeiyouryouwaribiki.pdf
平成29年6月30日受付分で終了。
埼玉県信用保証協会 http://www.cgc-saitama.or.jp/main/information/index.html
平成29年3月31日受付分で終了。
千葉県信用保証協会 http://www.chiba-cgc.or.jp/news/news.php?nc=20170313153631512594
平成30年3月31日受付分で終了。
静岡県信用保証協会 http://www.cgc-shizuoka.or.jp/newslink/20170328_tyushokaikei.html
平成29年9月29日受付分で終了。
神奈川県下(神奈川県・川崎市)信用保証協会
平成29年6月30日受付分で終了。
神奈川県 http://www.cgc-kanagawa.or.jp/news/201704youryo_end/
横浜市 http://www.sinpo-yokohama.or.jp/
川崎市 http://www.cgc-kawasaki.or.jp/about/pdf/kaikeiwaribiki.pdf -
中小企業の金融基礎知識 第9回
2017年4月4日
赤字企業の資金調達
今まで、金融機関の仕組みなどについて、説明してまいりましたが、この項は少し今までとは違い、赤字企業の資金調達について語っていきたいと思います。
(1) 赤字企業の資金調達のリスク
企業実績が赤字であれば、大抵それに従い資金繰りが悪化していると思われます。
ただ、業績悪化すると金融機関に避けられてしまう、その為に資金調達は難しくなります。それでも、業績悪化を隠し、金融機関に融資を申し込む、それで断られれば、ノンバンクの高金利融資に走る、こういった企業も少なくありません。
これは、確実に後々の自社の資金繰りを悪化させる原因となります。
確かに赤字脱却の為に資金調達は欠かせないものです。しかし、その調達の意味が「黒字転換の為の前向きな調達」なのか「赤字補填の為の後ろ向きの調達」なのかで意味合いは大きく変わってきます。
大抵のケースは、後者であり、後々大変な思いをされている方は少なくありません。
しかし、本来は前者の事由でなければいけません。その為にはどうすれば良いのでしょうか?(2) まずは自己分析!
まずは赤字になった要因を分析することです。その要因は果たして一過性のものなのか経常的なものなのか、黒字転換する為にその赤字要因を切り捨てるべきかどうかなどを検証しましょう。そして要因がわかったら、その解決方法を探り、その為に資金が必要であるという結論に達してから、調達を実行すべきです。
例えば、売上悪化が赤字要因であった場合、なぜ売上が伸びないのかを徹底的に分析し、人材不足なので人員を増やす必要性や誘致活動の為の広告の必要性などが結論として出た場合、その必要資金を積算して融資を申し込むといった感じです。(3) 融資を受ける場合には返済していくことをイメージする事
融資を受ける前に、借りたはいいけど返せるのかどうか、黒字転換はいつ頃なのか
をきちんとイメージする必要があります。借りてから考えれば良いなどと思っていると確実に資金ショートを起こします。そのためには資金繰り予定表と短期の事業計画を策定し、検証することがとても大事になります。(4) 赤字補填の為の資金繰り
そうは言っても、黒字転換の道が明確に見えてこない・・・そんな方々もいらっしゃると思われます。それでも企業は日々営業活動を続けているので、何もしなければ資金ショートを起こしてしまうからどうしても赤字補填の資金調達に走るしかない、そう言う思いをされた方々も少なくありません。
しかし、そうであっても待ってください。資金調達をせずとも資金繰りを改善する方法はあります。一番手っ取り早い方法は、銀行に対し返済条件の緩和をお願いすることです。これをリスケジュールと言います。これについては次項で詳しく説明いたします。
後は、今までの経験の中から以下のような事を実行すると、資金繰り改善となります。
① 売掛金回収を早める
② 在庫の消化(不良化しそうなものは多少ディスカウントしてでも売り捌く)
③ 不要資産の売却
④ 経費のチェックをして無駄なものは省く
⑤ 保険(特に生命保険)の見直しをして不必要だったりするものは解約する
⑥ 会社の資金繰りだけでなく経営者個人の資金繰りも見直し、生活する上で
最低限必要な額を把握しておく(いざというときは役員報酬減額する為に)
⑦ 買掛金等の支払を延ばす
⑧ 支払の優先順位を常に頭に入れておく(5)支払の優先順位
資金繰り悪化は当然のように支払>収入というバランスから生じるものです。
支払先には種類があって、仕入代金の支払から社員の給与、銀行返済など様々です。
今ある現預金よりも支払額が多ければ当然何かしらの支払が滞ることになりますが、
この優先順位を間違ってはいけません。
それと、今日の明日資金が足らないといった状況は避けてください。その為には常に資金繰り表の作成をして、いつ資金が足らなくなるのかを事前に把握して早めに手を打つことが大事です。※資金繰りにお困りであればいつでも当社に連絡ください。前述の支払の優先順位も含め、相談に乗ります。
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信用保証料の差引計算について
2017年4月4日
横浜市信用保証協会及び神奈川県信用保証協会より、信用保証料の差引計算について
お知らせがありました。<神奈川県信用保証協会>
平成29年4月1日より、中小企業の皆様へのサ-ビス向上・一時的な負担軽減のため、信用保証料の支払い方法が変更されます。期日未到来の既存の保証付融資を新たな保証付融資で借り換える場合、完済する保証付融資の「返戻保証料」を新たな保証付融資の「信用保証料」から差し引いた額をお支払いします。
詳しくは、神奈川県保証協会のホームページまでお問い合わせください。リンク
下記のURLをクリックすると神奈川県保証協会ホームページにリンクしますhttp://www.cgc-kanagawa.or.jp/news/2904hosyoryo_sasihiki/
<横浜市信用保証協会>
中小企業の皆様へのサービス向上・一時的な負担軽減のため、平成29年4月1日から信用保証料徴収についての取り扱いを一部変更致します。詳しくは、横浜市保証協会のホームページまでお問い合わせください。
リンク
下記のURLをクリックすると横浜市信用保証協会ホームページにリンクします
http://www.sinpo-yokohama.or.jp/guide/pdf/201703_sashihiki.pdf -
東京都新宿区 中小企業向け制度融資
2017年4月4日
新宿区では、区内中小企業の方々が経営に必要な資金を低利で受けられるように、金融機関への融資紹介を行っています。経営の拡大・安定化、区内での創業等にお役立てください。この制度は、区の資金を預託した金融機関に融資を紹介するもので、融資金額等については、信用保証協会の保証、連帯保証、不動産担保の条件により、金融機関が決定します。
・利用可能な方
(1)ア 法人は次の要件をいずれも備えていること。
①.区内に本店(営業の本拠)があり、区内で同一事業を引き続き1年以上営業しており、かつ
本店登記が登記日から1年以上区内にあること
②.本店(営業の本拠)と本店登記が区内の同一所在地にあること
イ 個人は、区内に事業所(営業の本拠)があり、区内で同一事業を引き続き1年以上営業していること(個人事業で区内在住1年以上の場合は東京都内の営業の本拠も可)
(なお、創業資金、商店街空き店舗活用支援資金については、別途要件あり)
※法人、個人とも1期以上確定申告を行っていることも条件となります
(2)東京信用保証協会の保証対象業種を営んでいること
※信用保証協会の保証対象にならない業種 バー・キャバレーなどの遊興娯楽業、金融業、その他の協会が定める業種
※事業に係る許認可等を受けていること。
(3)住民税・事業税を滞納していないこと。(分納は不可)
詳しくは、下記URLをクリックしますと新宿区のホームページへリンクします。ご参照ください。
http://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000213865.pdf -
東京都中小企業制度融資
2017年4月4日
経営セーフ
1.都内に事業所(住居)があり、保証協会の保証対象となる業種を営んでいること。
(ただし、一定の業歴要件が必要となる場合があります。)
2.事業税その他租税の未申告、滞納がないこと。
(ただし、完納の見通しが立つ場合などはこの限りではない。)
3.許可、認可、登録、届出等が必要な業種にあっては、当該許認可等を受けている(又は、受ける)こと。
※創業を計画している方にご利用いただける制度は、創業融資です。
※極度型融資については、引き続き2年以上同一事業を営んでいることが必要です。
4.現在かつ将来にわたって、暴力団員等に該当しないこと、暴力団員等が経営を支配していると認められる関係等を有しないこと及び暴力的な要求行為等を行わないこと。
※業種により、資本金や従業員の条件があります。
資金使途 運転資金・設備資金
融資限度額 2億8,000万円
返済方法 分割返済(元金据置期間は2 年以内)ただし、融資期間が1 年以内の場合は一括返済とすることができます。
上記融資制度について、詳しくは下記URLをクリックすると東京都産業労働局のホームページへリンクします。ご参照ください。
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/chushou/19%20keieise-fu.pdf -
セーフティネット保証5号認定の指定業種
2017年4月4日
経済産業省が業績の悪化している業種に属する事業を行う中小企業を対象とするセーフティネット保証5号について、平成29年度第1四半期の指定業種を公表しました。指定期間は、平成29年4月1日から6月30日までです。
全体的には指定業種が262から82の業種が減少し、67の業種が追加され、247に減少しました。
新たに建築工事業・木造建築工事業・建築リフォ-ム工事業・一般管工事業・冷暖房設備工事業・給排水・衛生設備工事業・機械器具設置工事業・新聞業・新聞小売業などが追加され、内装工事業・情報処理サ-ビス業・家具小売業・土地売買業(投機を目的としないものに限る)などが指定から外れました。
経済産業省は、平成29年4月1日から平成29年6月30日までのセーフティネット保証5号の対象業種について、ホームページに掲載しております。(下記URLを選択すると経済産業省ホームページに移動します)
http://www.meti.go.jp/press/2016/03/20170321002/20170321002.html
セーフティネット保証5号の指定業種(平成29年4月1日~平成29年6月30日)
http://www.meti.go.jp/press/2016/03/20170321002/20170321002-2.pdf