ふるさと納税の返礼品の見直しについて
2017年5月10日
ふるさと納税もスタートして数年立ち、申告不要で便利なワンストップ特例の導入や民間業者の返礼品の一覧サイトの発達により、かなりメジャーになりました。当事務所の先日の確定申告でも、体感ですが1割弱の方がふるさと納税をしていたと感じています。
ふるさと納税の最大のメリットは、実質2千円の税負担で地方の特産品を返礼品としてもらえるということでしたが、今回は特に地方団体がふるさと納税の獲得に一生懸命になり、いつしか返礼品が商品券や自転車など派手にエスカレートしてきているという印象を受けました。返礼品の一覧サイトでも露骨に返戻率の表示がされるようになり、当初の趣旨である自分の思い入れのある地方への寄付という考えとはかけ離れたものになっている状態でした。
そこで4月に入り、総務大臣から各都道府県知事に対し、「ふるさと納税に係る返礼品の送付等について」という通知が公布されました。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zeimu04_02000037.html
内容としては、制度の趣旨にそぐわない行き過ぎた返礼品の送付を見直すよう各地方団体に求めるもので、
1. 商品券や電子マネーなどの金銭類似性の高いものの禁止。
2. 家電・家具などの転売できるような資産性の高いものの禁止。
3. 価格が高額なものの禁止。
4. 30%を超える返戻率のものは禁止。
5. その地方団体の住民への送付は禁止。
というものです。
この通知を素直に受け止めれば、来年以降は、ほとんどの地方団体で、地元の特産品を返礼する程度のものになると思います。これまでも、そういったものが欲しくてついでに寄付もできるし…という方が大半のようでしたので、この通知の結果、ふるさと納税が下火になるとは思えません。都会の税収を金目のモノで地方が奪ったあげく、返礼コストで税収が寄付金の半分しか残っていないというのは、やはり邪道ではないかと思います。地元産業の活性化と特産品のリピートや観光への呼び水として成功している地方団体もあるようですので、こうした地道な努力で制度を活用していただきたいと思います。