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税務

〈相続税におけるマンションの評価方法についての見直しの動き〉

2023年9月4日

税務

相続税等(相続税・贈与税)における財産の価額は、相続税法第22条の規定により、「財産の取得の時における時価による」こととされていますが、マンションの「相続税評価額」については、「時価(市場売買価格)」との大きな乖離が生じているケースも確認されています。

当ページ2022年5月9日掲載の記事にて紹介していますが、マンションの相続税をめぐり現行の路線価評価が著しく不適当と再評価した国税側が勝訴した最高裁判決事例も出ています。

今後、令和6年1月1日以後の相続等又は贈与により取得した財産への適用に向け、見直し案の要旨についての有識者からの意見を踏まえ、国税庁において通達案を作成し、意見公募手続きを行う予定とのこと。まだ確定ではありませんが6月30日に示された見直し案をご紹介します。

①現行のマンションの評価方法

相続等で取得した財産の時価(マンション(一室)の評価額)は、不動産鑑定価格や売却価格が通常不明であることから、次の(1)と(2)の合計額としている(通達)。

(1)建物(区分所有建物)の価額=建物の固定資産税評価額×1.0

(2)敷地(敷地利用権)の価額 =敷地全体の面積×共有持分×平米単価(路線価等)

②評価額が市場価格と乖離する主な要因

(1)建物の評価額は、再建築価格をベースに算定されている。他方、市場価格はそれに加えて建物の総階数、マンション一室の所在階も考慮されているほか、評価額への築年数の反映が不十分だと、評価額が市場価格に比べて低くなるケースがある(建物の効用の反映が不十分)。

(2)マンション一室を所有するための敷地利用権は、共有持分で按分した面積に平米単価を乗じて評価されるが、この面積は一般的に高層マンションほどより細分化され狭小となるため、このように敷地持分が狭小なケースは立地条件の良好な場所でも、評価額が市場価格に比べて低くなる(立地条件の反映が不十分)。

③評価方法の見直し概要

(1)一戸建ての物件とのバランスも考慮して、相続税評価額が市場価格理論値(=市場価格)の60%未満となっているものについて、市場価格理論値の60%になるよう評価額を補正する。

(2)評価水準(=相続税評価額÷市場価格理論値)60%~100%は補正しない。(現行の相続税評価額×1.0)

(3)評価水準100%超のものは100%となるよう評価額を減額する。

国税庁 令和5年6月30日報道発表資料 マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議について

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