〈生命保険契約照会制度と相続税の非課税限度額〉
2022年9月2日
【生命保険契約照会制度】
家族の死亡や認知判断能力の低下等によって生命保険契約に関する手がかりを失い、保険金等の請求を行うことが困難な場合には、有料にはなりますが日本で営業する生命保険会社全社が加盟している一般社団法人生命保険協会に、生命保険契約の有無を照会することができる制度「生命保険契約照会制度」があります。この制度をうまく活用できれば受け取れるはずの保険金の請求漏れを防ぐことができたり、相続税の申告の際に必要となる生命保険の確認の手間を省くことができると思います。
①生命保険契約照会制度が利用できる時とは
生命保険契約の有無を確認する方(照会対象者)の状況が以下の場合
(1)平時での死亡
照会対象者がお亡くなりになり、生命保険契約の存在が不明な場合
(2)平時での認知判断能力の低下
照会対象者が認知症等により認知判断能力が低下し、生命保険契約の存在が不明な場合
(3)災害時での死亡もしくは行方不明
災害救助法が適用等された地域において被災され、家屋等の流出・焼失等により生命保険契約の存在が不明な場合
②調査対象となる生命保険契約の範囲
一般社団法人生命保険協会が照会を受け付けた日現在、有効に継続している個人保険契約。
ただし、財形保険契約および財形年金保険契約、支払が開始した年金保険契約、保険金等が据置きとなっている保険契約は対象から除かれます。
③利用手順
(1)家族で調べる
・生命保険証券を探す
・生命保険会社から定期的に送付される通知物を探す
・預金通帳の保険料の口座振替履歴等を確認する
など、まずはご家族で生命保険契約を調べ、制度を利用する必要があるか検討しましょう。
(2)生命保険契約照会制度を利用する
契約の存在が分からない場合は、一般社団法人生命保険協会に契約の有無の照会を行います。利用料は1照会当たり3,000円(税込)です。加えて、確認書類として「戸籍」や「協会所定の診断書」等の提出を求めるため、別途取得費用を負担して準備する必要があります。
調査結果(生命保険契約の有無)は、一般社団法人生命保険協会にて取りまとめたうえ、照会者宛に回答します。
(注)調査結果は生命保険契約の有無のみであり、生命保険契約の種類の調査や保険金等の請求の代行は行っていません。
(3)保険会社へ連絡する
契約内容の確認や保険金・給付金の請求については、契約している保険会社のコールセンターに直接連絡をします。その際に「協会の生命保険契約照会制度を利用した」旨を申し出ます。なお、保険契約の権利関係によっては回答できない(正当権利者からの連絡を求める)場合があります。
【死亡保険金の相続税非課税限度額】
被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部または一部を被相続人が負担していたものは相続税の課税対象となります。
この死亡保険金の受取人が相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人を除く)である場合、全ての相続人が受け取った保険金の合計額が、次の算式によって計算した非課税限度額を超える時、その超える部分が相続税の課税対象になります。
500万円×法定相続人の数=非課税限度額
なお、相続人以外の人が取得した死亡保険金には非課税の適用はありません。
(注1)法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄が無かったものとした場合の相続人の数をいいます。
(注2)法定相続人の中に養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいる時は1人、実子がいない時は2人までとなります。
また各相続人一人ひとりに課税される金額は、その相続人が受け取った生命保険金の金額から、非課税限度額を各人が受け取った生命保険金の金額で按分した金額を控除した金額となります。
一般社団法人生命保険協会 生命保険契約照会制度のご案内
生命保険協会 生命保険契約照会制度のご案内 | 生命保険協会 (seiho.or.jp)
生命保険契約照会制度のチラシ
国税庁 No,4114 相続税の課税対象になる死亡保険金