〈延滞税の計算方法〉
2022年7月4日
ここ最近、持続化給付金の不正受給に関するニュースを目にする機会が多いですね。持続化給付金、家賃支援給付金、一時支援金、月次支援金、事業復活支援金が不正受給と判断された場合、給付金額の全額に、不正受給の日の翌日から返還の日まで、年3%の割合で算定した延滞金を加え、これらの合計額に2割に相当する額を加えた額の返還請求が給付規定やHPに明記されています。
では国税の延滞税の計算方法はどうなっているのでしょうか。
①延滞税がかかる場合
例えば、次のような場合には延滞税が課されます。
(1)申告などで確定した税額を法定納期限までに完納しないとき
(2)期限後申告書または修正申告書を提出した場合で、納付しなければならない税額があるとき
(3)更正または決定の処分を受けた場合で、納付しなければならない税額があるとき
いずれの場合も、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じた延滞税を納付しなければなりません。
なお、延滞税は本税だけを対象として課されるものであり、加算税などに対しては課されません。
②延滞税の計算方法
延滞税の額は、法定納期限の翌日から完納する日までの日数に応じ、次により計算した金額の合計額となります。(100円未満切捨て)
(1)納期限(注)の翌日から2カ月を経過する日まで(原則として年7.3%)
納付すべき本税の額(10,000円未満切捨て)
×延滞税の割合
×法定納期限の翌日から完納の日又は2月を経過する日の日数
÷365(日)
=金額(1円未満切捨て)
(2)納期限(注)の翌日から2カ月を経過した日以後(原則として年14.6%)
納付すべき本税の額(10,000円未満切捨て)
×延滞税の割合
×2月を経過する日の翌日から完納の日までの日数
÷365(日)
=金額(1円未満切捨て)
③法定納期限
法定納期限とは、国税に関する法律の規定により国税を納付すべき期限をいい、原則として法定申告期限と同一の日となります。
④延滞税の割合(令和3年1月1日以後の期間に対応する延滞税の割合)
(1)納期限(注)までの期間及び納期限の翌日から2月を経過する日までの期間については、年「7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」の、いずれか低い割合
(2)納期限の翌日から2月を経過する日の翌日以後については、年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」の、いずれか低い割合
延滞税特例基準割合とは、確年の前々年の9月から前年の8月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として、確年の前年11月30日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。
(注) 納期限は次のとおりです。
・期限内に申告された場合には、法定納期限
・期限後申告又は修正申告の場合には、申告書を提出した日
・更正・決定の場合には、更正通知書を発した日から1か月後の日
⑤延滞税の計算期間の特例
偽りその他不正の行為により国税を免れた場合等を除き、次の場合には一定の期間を延滞税の計算期間に含めないという特例があります。
(1)期限内申告書が提出されていて、法定申告期限後1年を経過してから修正申告または更正があったとき
(2)期限後申告書が提出されていて、その申告書提出後1年を経過してから修正申告または更正があったとき
(3)確定申告書を提出した後に減額更正がされ、その後さらに修正申告または更正があったとき(平成29年1月1日以後に法定納期限が到来する国税について適用されます)
また地方税の延滞金の延滞税率(本則)は14.6%(一定の場合には7.3%)となっています。
延滞税率は銀行等の預金利息や借入利息より利率が高いです。期限までに納付が難しい場合は、延滞税を免れることはできませんが、まずは税務署等に分割納税等の相談することをお勧めします。