空き家を巡る税務
2017年9月1日
近年、空き家の増加が社会問題になっており、横浜市でも平成20年から平成25年の5年間で約1.3倍に増加しているそうです。これは、高齢化社会になり、親世代が住んでいた家が住まれなくなりそのまま放置されるというケースが多いようですが、更地にせず放置したままにしておくのは固定資産税の課税方法が影響しているようです。
固定資産税では、土地を住宅やアパートなどの「住宅用地」と更地・店舗・工場などの「非住宅用地」に区分し、「住宅用地」なら200㎡(約60坪)以下であれば固定資産税が1/6に軽減されます。したがって、更地にしておくよりも固定資産税を考えた場合、維持費が安くなります。
しかし、何年も空き家を放置しておくと老朽化が進み周囲に迷惑をかけるケースが増えてきたため、
平成27年5月に空家等対策特別措置法が施行され、「特定空家」に指定・勧告を受けた場合は土地にかかる固定資産税の優遇措置が適用されず、更地の状態と同等の6倍とされました。「特定空家」の要件は、
①倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、
②著しく衛生上有害となるおそれのある状態、
③適切な管理が行われていないことにより著しく周囲の景観を損なっている状態、
④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態のいずれかに該当するかを総合的に判断されます。
(横浜市の特定家屋等の判断基準についてhttp://www.city.yokohama.lg.jp/kenchiku/kikaku/plan/akiya-akichi/keikaku/tokuteiakiya-kijun-all.pdf)
土地によっては、空き家にしておいても固定資産税がかかるのでしたら、貸家にしたり、更地にして貸し駐車場にしたりして活用した方が維持費以上の収益が見込める場合もあると思います。
また、空き家を売却するという手段も考えられます。自分が住んでいた土地や建物を売却して譲渡益が出た場合、住まなくなった日から3年目を経過する日の属する年の12月31日までに売れば、
譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。(https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3302.htm)
その空き家が相続を受けたものであれば、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。(https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3306.htm)
無作為に空き家を放置するより、優遇を受けることができる期間中に対策を講じておくこともご検討ください。