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金融

中小企業の金融基礎知識 第13回

2017年8月2日

金融

運転資金とは、経営を行うにあたり、非常に重要なものです。では、御社にとって必要最低限の「運転資金」はどれくらいなのか?これは、経営者は絶対把握していなければならないものです。当然ですが金融機関もこのポイントはしっかりと押さえてきます。

(1)運転資金が必要となる場合はどういう時なのか

①入金と支払のずれ
売上入金と仕入支払の時期は必ずしも一致しません。仮に売上の入金サイトが翌末払いで仕入の支払サイトが翌20日だったとして、100万円の仕入を行い翌日に150万円で売ったとしたら、翌月の20日には売上入金がない状態で100万円を先行払いしなければなりません。10日もすれば売上入金が150万円ありますが、翌月20日には次の仕入代金を支払わなければなりません。こうした入出金のずれを解消する為に最低でも最初に支払わなければならない100万円は必要最低限の運転資金となります。

②在庫
在庫を持つ為にも当然ですが資金が必要です。在庫は売らないと資金回収が出来ないので、これも必要最低限の運転資金となります。

③ランニングコスト
従業員の給料や事業所の家賃等の固定費は、業績の有無に関わらず発生します。本来ならば、業績でこの分までカバーできていないと事業そのものが成り立たないのですが、新規事業を行う際は、軌道に乗るまでの間、この部分の運転資金は必要となります。金融機関の観点では、概ねかかる固定費の3か月分とされているようです。

(2)決算書や試算表から読み取られる経常運転資金

金融機関も上記①~③を基本としてその企業の必要運転資金を算定します。では、どのようにして捉えているのか?それは、こちらが提示する決算書や試算表から読み取られています。計算式は 売上債権+棚卸資産―仕入債務となり、それがその企業の適正運転資金という事になります。これを経常運転資金と言います。但し、前項の6でも述べたように、売掛金や在庫の残高が適正かどうかは見られます。年商規模に対してあまりにも多い場合には、理由を問われます。

(3)運転資金の融資を受けるためのポイント

①融資期間
本来、運転資金の不足は売上金の回収が行われればすべてが解消されるはずなので3ヶ月くらいの融資期間があれば資金不足は解消される計算ですが、企業経営は単発ではなく常に動いています。その都度、融資を実行、返済を繰り返せばそれだけ手続きも煩雑になってしまい、資金繰りも一向に安定しません。更に右肩上がりの経営であれば、経常運転資金はどんどん拡大していきますので、常に資金不足となってしまいます。ですから大抵の場合は、中長期的に期間を設定し分割返済を行う事で資金繰り安定化を行います。

本来ならば1~3年が妥当なところなのですが、協会保証や公庫利用の場合は5年返済が一般的です。

②審査のポイント
(2)で説明した経常運転資金が金融機関の審査で大きく関わってきます。運転資金融資総額が、経常運転資金の範囲内であれば「健全」と判断されますので、比較的スムーズに融資が実行される事が多いようですが、逆の場合は慎重に審査をされるようです。

 そうした場合は、試算表や資金繰り表は当然ですが、事業計画書の作成や明確な資金使途の説明が出来るようにしておかなければなりません。

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