中小企業が配当をしないのはなぜ?
2017年8月2日
上場企業であれば、業績が良ければ配当が出るのが当然ですが、中小企業では仮に業績が良くても配当を出すということはレアケースです。
では、なぜ中小企業は配当をしないのか?
それには二つの理由があります。
一つは、配当の支払いは経費にならないからです。
役員=株主がほとんどの中小企業の場合、まったく経費にならない配当を出すより、その分を役員給与として支給したほうが経費になるため、会社の節税になります。
二つ目は、配当を出すことによって自社の株価が上がってしまい、オーナーの相続税対策がさらに難しくなるためです。自社株の相続税評価をする場合の類似業種比準方式では、利益・純資産・配当が価格を決める構成要素ですので、そのうちの配当を0にすると株価を抑えることができます。
(配当をしないことにより、比準要素数という株価を決める要素が変わってしまい、逆に株価が上がる場合もあります。)
では、中小企業でも配当を実施している会社があるのはなぜでしょうか?
理由はもちろん様々でしょうが、経営者以外の株主がいるため配当を出さざるを得ないといったところでしょうか。業績が悪い時期は我慢してもらったが、ここ最近業績が良くなってきたため、久しぶりに配当を出すことにしたという会社も多いと思います。
配当を出す際は、①配当金額の20.42%の源泉徴収税額を支払日の翌10日までに納付すること、
②資本金の1/4に達するまで配当金額の1/10を資本準備金または利益準備金として積み立てること
③税務署へ配当の支払調書合計表を提出すること、を忘れないようにしましょう。