外れ馬券訴訟を受けた通達改正
2015年8月5日
外れ馬券が経費になるかが争われた裁判の最高裁判決が平成27年3月10日にあり、経費にならないとした国税の主張が認められず、納税者の勝訴という結論になりました。
この事例は、ソフトウエアやインターネットを利用して、一般的な趣味としてではなく、資産運用の一環として競馬を行っていたものです。資産運用であれば必ず利益が出るとは限らず、損をした場合にそれを経費として認めないのはおかしいということです。
競馬の馬券の払戻金については、所得税基本通達では一時所得に該当するとされていましたが、今回の判決と同様の購入行為の態様や規模などによっては、雑所得として取り扱うとする改正が行われました。
ただし、同判決における納税者は、独自の計算システムに基づいており、ソフトウエアやインターネットを利用していなければ、多額の利益を上げることはできなかったのであり、「雑所得」に該当する対象者は非常に限定的といえます。
現にこの判決後、同じ争点の事件について、東京地裁が納税者の主張を退けています。多額の利益を上げていたものの、ソフトウエアを使用していなかったことが、棄却された主な理由のようですので、安易な判断は禁物です。
国税庁HPより
https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h27/saikosai_hanketsu/01-02.pdf