低解約返戻保険等の改正所得税通達を公表
2021年7月2日
国税庁は6月25日、改正所得税基本通達36-37「保険契約等に関する権利の評価」を公表しました。
問題となっていたのは、契約当初から一定期間の解約返戻金の額が低く設定されている法人契約の「低解約返戻金型逓増定期保険」です。
(例)年間保険料1,000万円、最高解約返戻率70%超85%以下
4年目 解約返戻金 120万円(3%) 資産計上額 2,400万円
5年目 解約返戻金 4,250万円(85%)
この例は、4年目まで解約返戻金が低く設定され、5年目から跳ね上がる保険です。
4年目の保険料支払後、解約返戻金の額120万円で法人から社長に契約変更した場合、法人は4年間で支払った保険料4,000万円の内、120万円を除いた3,880万円を損金に算入することになります。
一方の社長は、5年目に保険料1,000万円を支払った後に解約すると、1,120万円の支出で解約返戻金4,250万円を得ることになり、この場合の税金も一時所得なので、50万円の特別控除後の2分の1課税となり優遇されています。
そこで、「解約返戻金<資産計上額×70%」の一定の低解約返戻保険、復旧可能な払済保険など解約返戻金の額が著しく低い保険契約等については、法人の資産計上額で評価する見直しがされました。
これにより、上記の例で言えば、法人の損金算入額は3,880万円から1,600万円に減少し、社長の支出額は1,120万円から3,400万円に増加して、節税効果は減少します。
この改正は、令和3年7月1日以降に「低解約返戻金型保険」等に関する権利を役員等に支給した場合に適用されます(令和元年7月8日以後に締結した保険契約に限ります)。
国税庁HPより
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/210621/index.htm